愛するものたちとの日常。


by candy-k1
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ジプシー・キャラバン

来年1月に公開されるジプシー・キャラバン【公式サイト】の試写会に行ってきました。

ジプシーと呼ばれる、スペイン・ルーマニア・マケドニア・インドの4つの国の5つのバンドが6週間かけて北米の諸都市を廻る「ジプシー・キャラバン・ツアー」を追い、それぞれのミュージシャンのルーツを訪ねる(チラシより抜粋)ドキュメンタリー。

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どうしても観たかった映画です。
愛するジョニーが、ロマ(ジプシー)について語っているということもありましたが、たとえジョニーが出演していなくとも、間違いなく劇場に足を運ぶだろうなと。
なぜなら。
彼らの紡ぎだす音の世界に、強烈に惹かれるから。
生きる哀しみ、喜び、逞しさ・・・生身の人生をストレートに伝える音に心を揺さぶられるからだ。
特に、出演バンドの一つ、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスは私のお気に入りでもあります。
また、私の人生ベスト10に入るであろう映画「アンダーグラウンド」に強烈な音の存在感を与えているファンファーラ・チョクルリーアも出演しています。




映像を通して流れる音の波は、圧巻。
ぐっと引き込まれる。
まるで、自分がその会場にいるのではないかという錯覚さえ覚える。
(映画だということを忘れ、何度拍手をしてしまいそうになったか・笑)

特に「ジプシー・クイーン」の称号を与えられたマケドニアの「エスマ」のその声たるや!!
初めて目に、耳にしたけれど、鳥肌が立つ。
唄われている歌詞の意味はわからずとも、強さとおおらかさ、喜びと哀しみをその声一つで表現しきる彼女の歌に、涙がでる。

スペインのフラメンコ「アントニオ・エル・ヒバ・フラメンコ・アンサンブル」も素晴らしい。
彼の舞踊を支えるミュージシャンたちの音も素晴らしいが、彼が腕をひとつ振り上げただけで、足でリズムを刻むたびに、舞台に一種張り詰めた、そして訴えかけるような情熱(それは哀しみであったり、喜びであったりするのだろう)が増殖していく。
んー!!!いつか、生で観たい。



そして、そして。
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス。
やはり、その演奏技術は素晴らしい!の一言。
何度見てもツインバロムの早弾きには目を奪われる。
搾り出すように、時に開放感を感じるボーカルも、素晴らしい。
そして何よりも、ニコラエ翁のバイオリン。
糸弾きの音。
誰もが真似のできる音ではないだろう。翁の人生が重みが、その音を奏でるのだろう。
そのニコラエ翁。
映像で、生きている翁(時に茶目っ気たっぷりに語る)の姿をたくさん目にできて、うれしい。
故郷グレジャニで、天に召された翁の姿までを追っているとは知らず。
その姿に、涙が止まらない。
哀しみを圧してバイオリンを弾きつづけるカリウの姿は、たまらなく切なく、そして心に響いた。


もちろん、あとの2つのバンドも言うまでも無く素晴らしい。
もっともっと彼らのライブを観ていたいと思うほどに。
どのバンドの音(舞踊)にも、誇りと強さを感じた。


彼らの日常も興味深い。
財力だけでは決して得ることができない「日々の暮らし」に心を置いて生きる彼らの日常は、贅沢こそないけれど、大切にしなければいけないモノを優先した暮らしに、心が温かくなる。



6週間のツアーを通して、心を通わせあう彼らを見ていくと、
ロマと呼ばれる彼らは、それぞれ暮らす場所は違えど「民=家族」なんだな、と感じる。
言語が違っても、信仰する宗教が違っても、刻むリズムが少しずつ違っても。
同じ哀しみを背負った彼らの中に流れる「音」は、一つの民の起源をくっきりと描きだしていた。
そして、彼らが長い迫害の歴史、弾圧と差別の中で(今も)生き抜いてきたことは、悲しい事実(正しい認識で心を寄せていかなければならないことだとも思う)だが、そうした中で生み出され、今に継がれたた彼らの音楽は、だからこそ私たちの心に様々な感情を掻き立て、心を揺さぶるのかもしれない。


エスマの言った一言が忘れられない。
「世界はジプシーを見習うべき」と。
私たちは、迫害も差別も戦争も起こさなかった唯一つの民族だ、と。
彼らの音から学ぶことは、あまりにも大きく深く。
そして人として、見つめ続けていかなければならないコトが散りばめられている。

エンドロールが流れきり、試写が終わった後に拍手が巻き起こった。
それは、観る人の心に訴える「魂」がそこにあったのだと、確信する。
映画が公開したら、間違いなくまた、足を運ぶだろうな。
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by candy-k1 | 2007-12-13 14:13 | 映画 音楽  本