愛するものたちとの日常。


by candy-k1
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ながいながい、ながい回想

昨日は。

以前撮影した、入学記念の写真が出来上がったので、娘と立川に。
(夫は、GWも仕事です^^;)
「お腹がすいた」の娘の声で、前から行ってみたいと思っていたcafe&dinner issueに。

こじんまりとしたセンスの良いお店。
食事も、なかなかおいしい。
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こちらでのひとときを過ごしていると、20年(本当は以上・汗)前、大好きだったお店のことを、ふと思い出した。

☆☆☆


18歳で免許を取得した私と、高校時代の友人。
よくいろんなところへ出かけたっけ。
ある日。
ドライブがてら出かけた前橋・敷島公園周辺の閑静な住宅街の一角で、偶然一軒のお店と出会った。
オープンして間もない「RITZ」。
コンクリート打ちっぱなしに、刺し色の赤を効果的に使ったモダンな建物。
対照的に、木立の残った森の匂いのする駐車場。
絶妙なセンスにわくわくしながら、お店のドアを押したのを、今でも覚えている。

食事も、飲み物も、流れるBGMも、インテリアも、雰囲気も、そこで働く人たちの笑顔も、何もかもが私の心を強く惹き付けた。
中でも、壁面で無声で流しているVIDEO。
当時よくあったスタイルだったのだけれど、こちらで流していたのは、流行のMTVでもなく、アキ・カリウスマキ監督の「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」。
このオーナーのセンスといったら!!いっぺんで、気に入ってしまった。
と、同時に「こちらのオーナーはどんな方なのかしら?」と、そちらも気になった。

当時の私の求めるもの全て満足させてくれた空間は、県をまたいで車を駆らせた。
友人たちも、また同じだったのだろう。
「どこ行く?」
「RITZ」
行き先は1分で決まり。

そうして、足しげく通ううち、オーナーのO氏が声をかけてきてくれた。
O氏は、思っていたとおり、アート全般に造詣の深い、柔らかい物腰を湛えた男性だった。
音楽やアートの話に花を咲かせていた私たちの会話が、O氏にも聞こえていたのかもしれないな。
O氏自ら椅子を持ってきて同席してくれ、音楽やアートの話、O氏のこれからの夢、いろんな事を時間を忘れておしゃべりした。
音楽の話で盛り上がると「じゃ、これなんて好きかもね」と一言残し、レジカウンター横にある小さな梯子階段をひょひょいと上がり、階上に設けたスペースにどっさり並べられたLPレコードの中からチョイスした盤を流してくれたり。
二十歳そこそこの若い私たちの話も、嫌な顔ひとつせず、丁寧に耳を傾けてくれたっけ。

私が忘れられなかったのは、O氏の夢。
「僕はね、このカフェの隣の敷地あるでしょう?あそこに、世界中の絵本を集めた本屋をつくろうと思っているんだ」
学生時代から通い始めた私も、社会人に。
当時、絵本に関連した仕事をしていた私は、O氏の話を聞いて、猛烈にわくわくしたのを覚えている。

でも、数年後、私は結婚、ほどなく妊娠し、なかなかRITZに足を運ぶことができなくなってしまった。
「こんなに長い間行けなかったら、きっと忘れられちゃうな」
大好きな場所、人、大切な場所・時間だっただけに、なんだか少し寂しい気がした。

娘が生まれ、当時よく一緒にRITZに行った友人から、お祝いにと、一冊の本が贈られてきた。
「O氏ね、前に言っていた本屋さん、本当に作ってオープンしたんだよ。お祝いは絶対そこで!と思って、RITZに行ったら、笑顔の素敵なO氏の彼女(ではないと、当時O氏は言っていたけれど、照れ隠しに決まってる!と勝手に決め込んでいたが、もしかしたら「彼女」って言葉で片付けられない大切な存在だったのかも)が、あなたを覚えていて、彼女もうれしいって、大喜びでね、一緒に選んだんだよ」
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私にとって、あのお店で過ごした時間は、忘れられない大切な瞬間であったけれど、O氏とお店のスタッフさんにとって、私などは、たくさん訪れるお客さんの一人でしかなかったであろう、忘れ去られてしまっていただろう、と思っていたのだ。
私のことを覚えていてくださった、そのことに感激した。
そうか。あのお店には、こうした心の温かさも、きちんと流れていたんだ。
あったかい気持ちになったのを、覚えている。
そして、何より、O氏の語っていたことが形になったことが、私もうれしかった。
そして、その形を、私も見てみたいとも思った。

☆☆☆☆
4年前。
前橋出身の義妹のお父さんが入院されたというので、前橋の病院にお見舞いに行った。
帰り道、ふと思い立って、RITZに行ってみた。
私の大好きだった場所、そしてO氏の夢だった本屋さんを、娘にも見せたかったのだ。

ざっと15年以上ぶりに訪ねたRITZは、佇まいも当時とは何一つ変わりなく、ただひとつかわったのは、カフェの反対側に建った、ドーム型の屋根を持つ本屋さんが加わったこと。
「これが、あの時語っていたO氏の夢の形なんだな」
感激したのを、覚えている。

残念ながら、訪ねて行った日は、本屋さんはクローズしていて、店内を巡ることができなかったのだけれど、ではではと、カフェで一息。
お店のつくりも、雰囲気も、当時と変わらない。
輝きも、そのままだった。
RITZは進化したけれど、RITZの真ん中にある「芯」は、何一つ変わらないんだ。
それが、とてもうれしかった。

☆☆☆☆☆
昨日、そんなことを思い出し、つかの間のお弁当つくりから開放されての夜更かしを楽しむ間、ふと思い立って、O氏とRITZをパソコンで検索してみた。

わわわ。驚いた。
cafe RITZは、21年ぶりにリニューアルでクローズしてしまっていた。(このGWのみの限定営業だそう)
f-ritz(本屋さん)は、平常に営業しているとのこと。これは、近いうちにやはり訪ねてみなきゃ。
で、もっと驚いたのは。
O氏は、前橋のアートシーンを先導するアーティストであり、プロデューサーだったんだということ。
当時からそういった横顔をお持ちだったのかもしれないけれど、あの頃は、名前をポンと入力すれば情報を引き出せるパソコンなんて持ち合わせていなく、O氏自身から語られることが、彼の全てだった。
今では、多岐に渡った活動、展開をされていることを知った。
本屋さんは、彼の夢のひとつだったんだなぁ。
もしかしたら、あの本屋さんは、「はじまり」だったのかもしれないな。

久しぶりに、画面越しに拝見したO氏。
あの当時夢を語り合った人が、今、大きな活躍をして頑張っていらっしゃる姿に、私の中でも少しだけ、何かが動いたような気がした。
何かを始めたいな。
そんな気分に。

☆☆☆☆☆☆

20年以上経った今でも、行きたいと思うRITZ。
大好きな場所だった。
きっと、それは、これからも変わらないと思うけれど。

そして。
今の私が大好きな場所。
そこは、私のみならず、私の家族も大好きな場所。
いずれ大きく進化し、成長したとしても、きっと、芯は変わらずにあり続けていてくれるだろう場所。

明日。
前橋を横目で見ながら通り過ぎ、そこへ向かう予定。
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by candy-k1 | 2007-05-04 19:44 | おもうこと